プロパンガス利用世帯の光熱費は高い?
2018年10月15日
1プロパンガス利用世帯の光熱費は高い?
都市ガスはその名の通り都市部に多く供給されています。プロパンガスは地方に多いという特徴があります。また、小売り事業者数は都市ガスが209社に対してプロパンガスは21,052社と零細小規模事業者が多いということも特徴的です。自由化がされているということは、極端にいえば、21,052社の中のどの業者と契約しても良いということです。しかし、プロパンガスはガスボンベにガスを充填して家庭に届けられるという性質上、近隣の業者からしか選べないというのが実情です。自由化されていると、利用者が有利かといえばそうとも限りません。料金については、業者がそれぞれ「自由」に設定できるわけですから、逆に高くなるという場合もあるわけです。
一般にプロパンガス料金は都市ガスより1.5~2倍ほど割高といわれています。つまりプロパンガス利用の世帯は都市ガス利用世帯に比べて光熱費は高くなってしまいます。地域によっても価格のばらつきもあり、積雪もあり面積が広いため配送コストが大きい北海道と住宅密度が高い東京都とでは北海道のほうが約4割高いというデータもあります。慢性的な人手不足も小売価格の上昇要因といえます。また、同じ業者でも利用者ごとに料金が異なることもあり不透明な商慣習が問題とされています。地方では人間関係のつながりを重視して他の業者に変えることは難しいということもあるでしょう。そういったしがらみがないのでしたら、業者を切り替えることも検討しましょう(集合住宅の場合は個別には難しい)。
まず、今お支払いの料金が適正かを知る必要があります。そのために、プロパンガスの料金相場を知ることが大事です。「一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター」のホームページでプロパンガスの地域別小売価格がわかるようになっています。プロパン業界自身も電力・ガスの小売り自由化を契機に料金適正化に努めようという気運も生まれています。資源エネルギー庁によると標準的な料金体系をホームページや店頭看板、料金明細で公表する事業者は9,000を超えました。契約している業者がそのようなデータを非公表で料金がかなり高ければ、近隣の他の業者に料金を問い合わせ、条件が良ければ切り替えることをお薦めします。
切り替えが難しいのであれば相場に見合った料金に改正してもらう交渉も有効でしょう。ボンベを人力で運搬してサービスを提供するプロパンガスは人件費が上乗せされるので、都市ガスより割高になる点は仕方ないことですが利用者としては自由化の良い部分である業者の選択ができる権利を活用したいものです。
とはいえ、近年の自然災害の多さから防災という観点から見れば、プロパンガスは災害時の復旧が早いメリットがあります。東日本大震災でも大活躍したと聞きます。被災後に火を使えるという安心感は格別のものでしょう。都市ガス供給エリアは少しずつ広がっていますが、都市ガス供給に必要な地下導管を通すコストと収益との採算性から都市ガスに転換できるエリアは限られます。プロパンガスは国土面積の95%をカバーするインフラ機能としては必要な存在といえます。